副業を始めて収入が出てくると、嬉しさと同時に「税金」や「確定申告」など、ちょっと面倒なことも気になってきます。
そんなとき最初にやっておきたいのが、「帳簿をつけること」です。
「帳簿ってどうやってつけるの?難しそう…」
「まだそんなに稼いでないから…」
と思う方も多いかもしれません。でも、早めに帳簿管理を始めておくと、あとでめちゃくちゃ楽になりますし、税金面でもしっかり備えることができます。
- なぜ帳簿が必要なのか
- どうやってつければいいのか
- 複式簿記の記帳例
- 会計ソフトなどおすすめツール
帳簿ってなに?
帳簿は事業をする人たちがつけるおこづかい帳のことです。
- 4月10日:ブログ報酬が2万円入った
- 4月12日:ブログ用に画像を作るためにCanvaを有料契約した(月1,500円)
- 4月15日:打合わせのカフェ代800円
このように「いつ・いくら・何に使ったか」をメモしていくものが帳簿です。
なぜ帳簿をつけるの?
そもそもなぜ帳簿をつけないといけないのか。
帳簿をつける必要がある理由を3つ紹介します。
確定申告の準備になる
確定申告では
副業での収入はいくらだった?
どれくらいの経費があった?
結局1年間でいくら儲かったのか?
最終的な金額を申告することになります。
副業で得た所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
収入や経費が記録されていないと、「何をどう申告すればいいか分からない…」という状態になってしまいます。
帳簿をしっかりつけておけば、そのまま申告書に転記するだけで済みます。
節税できる
たとえば、年間100万円の副業収入があったとします。
でも、その収入を得るために、80万円の経費がかかっていたとしたら
80万円の経費を帳簿につけていなければ、100万円すべてが「所得」として課税対象になり、
本来の所得は20万円しかないのに、余計な税金を払うことになってしまいます。
こうならないために、しっかりと帳簿をつけて経費を記録しておけば、課税されるのは本当の所得(収入-経費)に対してだけになります。
たとえばライターなら、以下のような支出も経費にできる可能性があります。
- 取材や打ち合わせの交通費
- 参考資料として購入した書籍や雑誌
- 原稿作成に使ったパソコンやソフト代 など
帳簿をつけることで、こうした経費を「証拠付き」でしっかり申告でき、経費を付ける→所得が減る→税金が減る→節税できるというわけです。
事業主としての自覚が生まれる
帳簿をつけることで、「今月はどれくらい稼げたのか」「どんな経費が多かったのか」「利益はどのくらい出ているか」など、お金の流れを数字で客観的に把握できるようになります。
これは、趣味感覚の副業から一歩抜け出して、「ちゃんとしたビジネスなんだ」と意識を変えるきっかけになります。
また、数字を意識するようになると、
- どの案件が効率よく稼げているか
- どこに無駄な出費があるか
- 来月はどう改善すればもっと利益が出せるか
といった経営者的な視点も自然と育っていきます。
「収入があったら終わり」ではなく、「利益をどう増やすか」「来月の戦略はどうするか」と考えるようになると、自然と副業のレベルもアップしていきます。
帳簿は単なる作業ではなく、“副業を成長させるためのツール”ととらえることができます。
税務調査官の「帳簿を見せてください」
副業をしていると、ある日突然、税務署から調査の連絡が来ることがあります。
そして、税務調査でまず最初に言われるのが、
「帳簿を見せてください」
そもそも帳簿がないと話にならないのです。
- 収入や経費の根拠が明確になる
- 確定申告書の内容と整合性が取りやすい
- 「この人はきちんと管理している」という良い印象を与えられる
といった理由から、調査をスムーズに進めることができます。
一方で、帳簿がなかったり、雑だったりすると
- この経費、本当に副業で使ったもの?
- 申告内容は正確なのか?
といった疑いを持たれやすくなり、結果として調査が長引く原因にもなってしまいます。
帳簿は自分を守る証拠資料
帳簿は確定申告のためだけでなく、自分の身を守るツールでもあります。
万が一、調査が入ったときも、きちんと帳簿を残していれば、落ち着いて対応できます。
「自分はまだそんなに稼いでないから大丈夫」と思っている方こそ、早めに帳簿管理の習慣をつけておくと安心です。
帳簿に何を書くの?【単式簿記】
副業を始めたばかりの段階であれば、シンプルな「単式簿記」での記録からスタートするのがおすすめです。
まずは記入された例を見てみましょう。
単式簿記の記帳例
日付 | 内容 | 収入額 | 支出額(経費) | メモ |
---|---|---|---|---|
4/1 | ライティング報酬 | 50,000円 | – | クラウドワークス経由 |
4/2 | 書籍購入 | – | 1,800円 | ライティング参考資料 |
4/3 | カフェ作業代 | – | 900円 | 作業スペース代 |
4/5 | 銀行振込手数料 | – | 220円 | 振込時の手数料 |
単式簿記とは?
単式簿記とは、その名の通り「単純に記録する」帳簿のつけ方です。
上の例のとおり、日々のお金の出入り(収入・支出)を1行で記録していくスタイルで、家計簿に近いイメージ。会計の専門知識がなくても、感覚的に続けられるのが魅力です。
収入と経費をしっかり分けること
単式簿記では、まず「入ってきたお金(収入)」と「出ていったお金(経費)」をハッキリ分けて記録するのが大切です。
- 収入:副業でもらった報酬、売上など
- 経費:副業に必要だった支出(通信費など)
分類に迷ったときは、「この支出は副業に関係していたか?」を判断基準にするとスムーズです。
単式簿記のメリット
- とにかくカンタン!今日からすぐ始められる
- 特別な知識や資格は不要
- 最低限の帳簿でも、確定申告や税務署対策になる
実際の記帳はどうやる?【複式簿記】
副業の収入が増えてきて、青色申告の65万円控除を受けたいと思ったときに必要になるのが、「複式簿記」による帳簿づけです。
「え、複式簿記って聞いただけでムズカしそう…」
と思うかもしれません。たしかに単式簿記より難しいです。
基本のルールと“仕訳”の流れさえつかめば、意外とシンプルに感じられるはずです。
複式簿記の記帳例
日付 | 借方(増えた側) | 金額 | 貸方(減った側) | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
4/1 | 普通預金 | 50,000円 | 売上 | 50,000円 | ライティング報酬 |
4/2 | 新聞図書費 | 1,800円 | 現金 | 1,800円 | 書籍購入 |
4/3 | 会議費 | 900円 | 現金 | 900円 | カフェ作業代 |
4/5 | 支払手数料 | 220円 | 普通預金 | 220円 | 振込手数料 |
※ 複式簿記では、「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という2方向で記帳します。
複式簿記とは?
複式簿記は、上の例のようにお金の動きを2つの視点から記録する帳簿の方法です。
「現金が増えた」という視点と、「なぜ増えたのか(売上?借入?)」という視点をセットで記録します。
4月1日に5万円のライター報酬が振り込まれた場合
「現金(資産)が増えた」+「売上(収益)があった」という2つの側面を記帳します。
複式簿記のメリット
- 青色申告特別控除(最大65万円)が受けられる
- 資産や利益の状態が正確に把握できる
- 会計ソフトを使えば、仕訳も自動補完してくれる
単式簿記と複式簿記の違い
帳簿をつける方法には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。
どちらも収支を管理するための手法ですが、内容や目的、使い方が大きく異なります。
以下の表で、違いを簡単に整理しました。
項目 | 単式簿記 | 複式簿記 |
---|---|---|
特徴 | お小遣い帳のようなシンプルな記録方式 | すべての取引を「二面(借方・貸方)」で記録 |
記録項目 | 現金の出入りのみ | 現金・売上・仕入・経費・負債などすべて |
難易度 | 低い | やや高い |
青色申告 | 10万円控除の対象 | 65万円控除の対象 |
メリット | 書き方が簡単、手間が少ない | 正確な損益管理ができる、節税効果が大きい |
デメリット | 管理が大雑把、詳細な分析には不向き | 習得に時間がかかる、最初はややハードル高め |
副業初心者にはどちらがおすすめ?
- とにかく簡単に始めたい人 → 単式簿記
エクセルやノートでも気軽に始められます。 - 将来的に本格的に稼ぎたい人 → 複式簿記
節税を考えるなら青色申告65万円控除を狙える複式簿記が有利です。
簿記がわからないけど勉強してみたい方
副業をしている方には、商工会議所が実施する日商簿記3級がちょうどよいレベル感です。
もし「単式簿記とか複式簿記とか全然わからないけど勉強してみたい」という方には、以下のおすすめ学習方法があります。
YouTubeなら【ふくしままさゆき】さん
YouTuberの【ふくしままさゆき】さんは、簿記の仕訳や考え方を超わかりやすく解説してくれます。
テンポもよく、図解も豊富なので、スキマ時間に見るだけで自然と理解が深まります。
ゼロからでも「見れば分かる」解説力
ふくしまさんの動画は、とにかくテンポがよくて分かりやすいのが魅力です。
簿記の基本である「仕訳」や「勘定科目」の意味など、超初心者でもつまずかないように噛み砕いて説明してくれます。
- アニメーションや手書き風の図解が豊富で、イメージしやすい
- 専門用語もかみ砕いてくれるから、つまずかない
- 1本15分程度の動画も多く、通勤・お昼休みの合間に視聴しやすい
簿記3級レベルの副業で使える知識を完全カバー
YouTubeでは主に簿記3級レベルの内容が多いですが、「副業で帳簿をつけたい」「青色申告のために複式簿記を学びたい」と思っている方には、ぴったりです。
- 小難しい理屈を「日常のたとえ話」に変えてくれるから、頭に入りやすい
- 簿記の考え方そのものが身につくので、会計ソフトを使う時も役立つ
YouTubeだからコスト0
市販のテキストではなかなか理解できなかった部分も、動画で視覚的に学べるのもメリット。
しかも無料でいつでも視聴できるので、簿記に少しでも興味があるなら、とにかく一度見てみる価値ありです。
副業で確定申告を目指す方も、「まずはなんとなく簿記を知っておきたい」くらいのライトな人も、ふくしまさんの動画からスタートすれば、簿記に対するハードルがグッと下がります。
※ちなみに私もふくしまさんの動画を見て日商簿記検定3級に合格しました。
クレアールの簿記講座
スキマ時間で気軽に学びたい方におすすめなのが YouTubeのふくしままさゆきさん。
しっかり体系的に学びたい方におすすめなのが、クレアールの簿記講座です。
クレアールは、長年の実績を持つ資格スクールで、特に「忙しい社会人でも合格できる」学習設計にされています。
完全初心者に向けたカリキュラム
簿記はとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、クレアールはとことんやさしい解説で、まったくの未経験者でも理解しやすく、専用テキスト&問題集付きで、インプットとアウトプットがしやすい内容になっています。
忙しい人でも継続しやすい「Web+冊子」
通勤中やスキマ時間にスマホで学べるWeb動画講義と、しっかり理解を深めるための紙の教材の両方が揃っているのもポイントです。
- 倍速再生や音声ダウンロードにも対応
- 紙派の人にもテキスト教材あり
- 学習スケジュールを自分のペースで組める
コスパの良い価格設定
市販の書籍だけでは挫折しがちな簿記学習も、クレアールなら「わかるまで教える」スタイルで、しっかり身につきます。
また、定期的に割引キャンペーンも実施されており、受講料も他の大手資格スクールに比べて比較的リーズナブル。無理なく続けられる価格設定です。
簿記の知識は、副業をするうえで「経費の考え方」や「お金の流れを見る力」にも直結します。
帳簿づけや確定申告をちゃんとやりたい!という方は、クレアールで学んでおくと間違いないでしょう。
会計ソフトで帳簿付けを自動化
学ぶのが面倒だという方も、会計ソフト(freeeやマネーフォワード)なら、ある程度仕訳が自動でされるのであまり心配いりません。(本当は学んでからにしてほしいですが)
知識ゼロからでも始められますが、最低限の用語や流れを知っておくと、スムーズさがグンと上がります。
会計ソフトなら初心者でもカンタン
特におすすめなのが、freee会計やマネーフォワード クラウド確定申告といったクラウド型会計ソフト。
銀行口座やクレジットカード、電子マネーと連携させることで、日々の取引を自動で読み取り&仕訳してくれます。
- 確定申告書類の作成(白色・青色対応)
- 確定申告書の提出(電子申告対応)
- 銀行やクレジットカードからの明細取得
- チャット・メールの基本サポート
- 見積書・請求書の作成(freeeのみ)
会計や簿記の知識がほとんどなくても、帳簿付けから確定申告までできてしまいます。
「完全おまかせ」ではないけど安心感が抜群
とはいえ、完全におまかせできるわけではありません。
たとえば「この支出は本当に経費なのか?」「仕訳の内容は正しいか?」などの最終判断は自分で行う必要があります。
だからこそ、最低限の用語や帳簿の流れだけでも知っておくと、操作がスムーズになり、ミスも減らせます。
たとえば以下のようなことを軽く押さえておくだけでも全然違います:
- 「収入」と「売上」は同じ意味?
- 「勘定科目」ってどう選べばいいの?
- 「経費にできるもの・できないもの」の見分け方
そうした基礎知識は、他の記事やYouTubeでも学べます。
当サイトでも初心者向けに分かりやすく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
結局どうしたらいい?
副業で収入が出たら帳簿をつけることが大事。でも、いざやるとなったら戸惑う方も多いはず。
まずは簿記の基礎を学んで、そこからの選択肢は2つです。
- 会計ソフトを使う【freee/マネーフォワード】
→ とにかく手間を省いて、ラクに管理したい人向け - エクセル or Googleスプレッドシートで管理
→ コストをかけず、自分でじっくりやってみたい人向け
それぞれの特徴を見ていきましょう。
会計ソフトを使う【freee/マネーフォワード】
副業ユーザーに特に人気が高いのが、以下の2つのクラウド会計ソフトです。
- freee会計
- マネーフォワード クラウド確定申告
いずれも、自動連携+自動仕訳+申告書の作成まで一気通貫で対応できるのが特徴。
- 銀行口座・クレカ明細の自動取り込み
→ 毎回手入力しなくても、自動で取引が帳簿に反映される - AIによる自動仕訳機能
→ 交通費や通信費などを自動で仕訳。初心者でも迷いにくい - 青色申告の書類もワンクリックで完成
→ 最大65万円の控除を狙いたい方にも心強い - スマホアプリ対応
→ 出先でも仕訳やレシート登録が可能。スキマ時間を有効活用 - 税理士との共有もしやすい
→ 将来的に税理士に依頼する場合もデータ連携がスムーズ
こんな人におすすめ
スマホでも帳簿をチェック・管理したい
確定申告のことを考えると気が重い
手間を減らしてラクに続けたい
確定申告まで一気通貫できるのがかなり大きいです。
作業効率が大幅にアップし、帳簿づけのストレスも激減します。
以下に会計ソフトの記事をまとめました。

エクセル・スプレッドシートで管理【無料でもしっかり】
「まずはお金をかけずに始めたい」「数字を見るのは好き」という方には、エクセルやGoogleスプレッドシートでの記録も十分実用的です。
- 無料で始められる
→ Googleアカウントがあれば、Googleスプレッドシートで即スタート可能 - 自分好みにカスタマイズ
→ 必要な項目だけに絞って設計でき、使いやすさを追求できる - 家計簿感覚で使える
→ 単式簿記ベースなら、「いつ・いくら・何に使った」だけでOK - スマホでの入力も可能
→ 外出先でもパッと記録できるので、習慣化しやすい
反対にエクセルやスプレッドシートには気を付けるべきこともあります。
- 青色申告(65万円控除)には不向き
- 書類の作成などは手作業になるため、確定申告がやや大変
- 複式簿記が必要な場合はテンプレや関数の理解が必要
こんな人におすすめ
節税額よりコスト重視で考えたい
自分のペースで管理したい
出費を細かく記録するのが好き
結論:ラクしたいなら会計ソフト、コストを抑えるならエクセル
副業を「忙しい会社員や確定申告が不安な人」なら、最初から会計ソフトを導入するのがおすすめです。
一方で「お金をかけずにまず試したい人」という方は、エクセルやスプレッドシートでの帳簿管理からスタートしてもOK。
どちらを選ぶにしても、帳簿をつける習慣を作ることこそが最重要ポイントです。自分に合った方法で、「収支の見える化」ができれば、節税も確定申告もグッとラクになります。
なによりもまず始めることが大事です。