「副業を始めたいけど、税金がよくわからない」
「そもそも何に税金がかかってるの?」
30代になり、キャリアや家計、将来のことを考え始める人が増える一方で、意外と知られていないのが「税金の基本」。
特に、副業を始めたいと考えているサラリーマンにとって、税金の仕組みを知っておくことは“稼ぎを最大化する”ために超重要なステップです。
この記事では、30代サラリーマンが最低限知っておくべき税金・社会保険の基本をわかりやすく解説。
副業初心者の方も安心して読める内容になっています!
税金の種類(会社員・副業初心者)
サラリーマンと副業初心者へのおもな税金は以下のとおりです。
種類 | 内容 | 税率(目安) |
---|---|---|
所得税 | 所得に基づいてかかる国税 | 5%〜45% |
住民税 | 前年の所得に基づいて 翌年にかかる地方税 | 約10% |
社会保険料 | 健康保険・年金 雇用保険などの保険料 | 約15% |
副業を始めると、これらに加えて、消費税、事業税が関わってきますが、それは稼げるようになってからの話になりますので今は気にしなくても大丈夫です。
副業が軌道に乗るほど、税金対策も重要に。
まずは、それぞれの税金について見ていきましょう。
所得税
所得税は、もうけたお金に対して課される国税です。
会社員の場合、毎月の給与から源泉徴収という形であらかじめ引かれています。
所得税が決まる2つの要素
- 課税所得:収入から必要経費や各種控除(基礎控除・医療費控除など)を引いた金額
- 税率:課税所得に応じて段階的に上がる「超過累進課税」制度が適用されます(5~45%)
つまり、「収入が増える=そのまま税金も上がる」わけではなく、
収入から控除を引いた“実質のもうけ”に対して税金がかかるという仕組みです。
所得税の税率表
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0 |
195万円〜330万円 | 10% | 97,500 |
330万円〜695万円 | 20% | 427,500 |
695万円〜900万円 | 23% | 636,000 |
900万円超~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※この税率は超過部分に適用されます。例えば、課税所得500万円の場合、500万円全体に20%がかかるわけではありません。330万円を超えた部分からの170万円に対して20%かかります。実際の税額は
5,000,000 × 20% – 427,500 = 572,500円
所得が500万円に対して所得税は572,500円になります(復興特別所得税を除いています)
副業の収入も対象になる?
はい、なります。副業で利益が出た場合、その分課税所得が増える=所得税も増えるということ。
「副業で稼ぐ=税金も上がる」という感覚は持っておきましょう。
ですが、逆に言えば、必要経費や控除を活用することで、課税所得を減らすことも可能です。
副業を始めるときは、稼ぐだけでなく「どうやって税金をコントロールするか」も意識するのが大切です。
住民税
住民税とは、地方自治体(都道府県・市区町村)に支払う地方税です。
所得税が「国」に納める税金なのに対して、住民税は「地方」に納める税金となります。
住民税には2つの課税方式がある
住民税は、次の2つの要素から構成されています。
区分 | 内容 | 税率・税額の目安 |
---|---|---|
所得割 | 前年の所得に応じて 課税される部分 | 約10% |
均等割 | 一定の所得を超えると 一律で課税される部分 | 年額 約5,000円〜6,000円 (自治体により異なる) |
たとえ所得が少なくても、一定値を超えれば均等割の分は支払う必要があります。
例:住民税均等割(5,000円)+所得割(120,000円)=計 年間125,000円
所得に応じて以下の3パターンに分かれます
- 所得割・均等割の人
- 均等割のみの人
- 非課税の人
住民税の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
税額 | 前年の所得により計算 |
税率 | 所得ー控除の残りの約10% |
納付時期 | 毎年6月〜翌年5月までの1年間 |
徴収方法 | 原則は特別徴収(給与天引き) |
副業で住民税が増える?
副業で年間20万円以上の所得(収入−経費)があり、確定申告をおこなうと住民税にも反映されます。
たとえば本業で年収500万円、副業で30万円の所得がある場合、その副業分にも10%前後の住民税が加算されます。
そして、ここで注意したいのが…
「副業バレ」の主な原因は住民税
副業が会社にバレる一番多いケースが、住民税の通知額の不一致です。
会社では、本業の収入分だけをもとに住民税を計算しているのに、自治体から通知される住民税額がそれより多いと、
「この人、他にも収入があるな?」と経理担当に気づかれることがあります。
これを防ぐには、確定申告の際に住民税の支払い方法を副業分のみを「普通徴収(自分で納付)」に設定することができます。
こうすれば、副業分の住民税だけ自分で払う形になるため、本業の会社に通知されにくくなります。以下の記事も参考にしてください。

住民税は「前年の収入」に応じて課され、副業収入があると税額も増える仕組みです。
節税のためにも、また副業のバレ防止にも、課税の仕組みや支払い方法を理解しておくことが大切です。他にも副業がバレる原因を以下の記事に紹介しています。
「自分でコントロールできる税金」として、住民税にも意識を向けていきましょう。
社会保険料
社会保険料とは、年金・健康保険・雇用保険などの保障制度を支えるために支払う保険料のことです。
サラリーマンの場合は給与から自動的に天引きされるため、普段あまり意識することはないかもしれません。
ですがこの保険料、私たちの「老後」や「万が一の病気・失業」など、将来の生活を守るために欠かせない制度なのです。
会社員として働いている場合、社会保険料は企業と労働者が折半して負担しており、
給与明細を見ると、その内訳(健康保険・厚生年金・雇用保険など)を確認できます。
主に以下の5つが「社会保険」と呼ばれるものに含まれます。
社会保険の種類と内容
種類 | 概要 |
---|---|
健康保険 | 医療費の自己負担を軽減 |
厚生年金 | 老後や障害、死亡時の生活保障 |
雇用保険 | 失業した時の給付(失業手当) 再就職支援など |
労災保険 | 仕事中のケガや病気 通勤途中の事故などの補償 |
介護保険 (40歳~) | 要介護状態になったときの サービス利用を支援 |
年収が上がると、社会保険料も増える理由
社会保険料は、あなたの年収(標準報酬月額)に応じて計算されるため、収入が増えるとその分支払う保険料も増えていきます。
これは「比例負担」の仕組みになっており、年収が高くなるほど保険料も段階的に引き上げられる構造になっています。
標準報酬月額とは?
会社員の社会保険料は、毎月の給料(基本給+各種手当)をもとに決まる「標準報酬月額」という等級で算定されます。
この標準報酬月額に保険料率を掛けることで、実際に支払う保険料が決まる仕組みです。
※各種手当には残業手当・休日出勤手当・通勤手当・住宅手当・家族手当・役職手当などが含まれます。
そして重要なのが、毎年4月〜6月の給与をもとに、その年(9月~8月)の保険料が決まるという点。これを「定時決定・算定基礎届」と呼びます。
つまり、4〜6月に残業などで給与が増えると、標準報酬月額が上がり、1年間の社会保険料が高くなる可能性があります。
逆に、この時期に残業を控えることで、保険料の節約につながることもあるのです。
手取りがあまり増えないと感じる理由
年収が上がったのに、思ったほど手取りが増えない…という声もよくありますが、その背景にはこの社会保険料や税金の増加が影響しています。
つまり、「年収アップ=そのまま手取りアップ」ではないということ。
しっかり収支を把握して、給与明細をチェックするクセをつけておくと、手取り感覚が養われます。
以下に概算の早見表を掲載します。
年収別・税金+社会保険料の早見表
年収 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | 控除合計 | 手取り |
---|---|---|---|---|---|
300万 | 約3万 | 約13万 | 約42万 | 約58万 | 約242万 |
400万 | 約6万 | 約20万 | 約62万 | 約88万 | 約312万 |
500万 | 約13万 | 約25万 | 約80万 | 約118万 | 約382万 |
600万 | 約21万 | 約30万 | 約102万 | 約153万 | 約447万 |
700万 | 約29万 | 約35万 | 約124万 | 約188万 | 約512万 |
800万 | 約38万 | 約40万 | 約144万 | 約222万 | 約578万 |
副業と社会保険の関係
副業を始めると「個人事業主」としての立場が加わることになりますが、本業で会社員として社会保険に加入している場合、副業に関しては基本的に追加で保険に加入する必要はありません。
ただし、本業を辞めて副業一本でやっていく場合は、「国民健康保険」と「国民年金」に切り替える必要があります。
なお、副業によって収入が増えても、会社の社会保険料(健康保険・厚生年金)は副業収入には影響されません。あくまで本業の給与に基づいて保険料が決まる仕組みになっています。以下の記事に詳しく紹介しています。




控除
「控除」とは、所得税や住民税を安くするための“割引”のような制度です。
サラリーマンや副業をしている人も、この控除を上手に活用することで、納める税金を大きく減らすことが可能になります。
税金は基本的に、「所得」に対して課されますが、控除によってこの“所得”自体を圧縮できるため、結果的に課税される金額(課税所得)も減少し、支払う税額も下がります。
控除の種類
会社員・副業初心者になじみの深い控除の一覧です
控除の種類 | 内容 | 控除額 (所得税) | 控除額 (住民税) |
---|---|---|---|
基礎控除 | 誰でも受けられる基本控除 (所得が2,400万円以下) | 48万円 | 43万円 |
配偶者控除 | 配偶者の所得が48万円以下で 納税者の所得が一定以下なら 受けられる控除 | 最大38万円 | 最大33万円 |
配偶者特別控除 | 配偶者の所得が48万円〜133 万円の間で段階的に控除可能 | 最大38万円 | 最大33万円 |
扶養控除 | 扶養する家族(16歳以上)に 対して受けられる 対象の年齢や同居状況で変動 | 38万円〜63万円 (条件により) | 33万円〜45万円 (条件により) |
社会保険料控除 | 健康保険、年金、雇用保険の 支払額が全額控除される | 支払額の全額 | 支払額の全額 |
生命保険料控除 | 民間の生命保険などに加入 している場合に適用 | 最大12万円 (最大4万円×3区分) | 最大7万円 (最大2.8万円×3区分) |
医療費控除 | 医療費が10万円または所得の 5%を超えた場合、超過分 が控除対象 | 超過分 (上限200万円) | 超過分 (上限200万円) |
寄附金控除 (ふるさと納税) | 寄附金のうち2,000円を 超えた分が控除対象 所得控除または税額控除の 形式で適用される | 所得控除または 税額控除 | 税額控除 (上限あり) |
副業する人の「経費」と控除
副業を始めた人にとって特に重要なのが、「必要経費」の考え方です。
これは、副業にかかった費用を“控除のように”扱って課税所得を減らすことができるため、しっかり記録しておけば節税に大きく貢献します。
たとえば、副業で使った以下のような支出が経費になる可能性があります。
- パソコン・スマホ代
- 通信費
- 書籍やセミナー代
- カフェでの打ち合わせ費用
- 交通費や外注費 など
これらの支出は、帳簿をつけて記録し、確定申告で「経費」として計上する必要があります。
そのためにも、会計アプリ(例:freeeやマネーフォワードなど)の活用がおすすめです。



控除を活かせば、手取りが変わる!
控除は、収入が多い・少ないに関係なく、誰でも使える節税の基本ツールです。
知らないまま放置してしまうと、余計な税金を払うことになってしまいます。
- 「自分が使える控除はどれか?」
- 「確定申告で何を申請すべきか?」
このあたりを意識するだけでも、税金の負担感はかなり軽減できますよ。
確定申告と年末調整
会社員は、基本的に勤務先が税金の計算と清算を行ってくれる「年末調整」によって納税が完了します。しかし、副業を始めた場合や特別な控除を受けたい場合には、「確定申告」が必要になることがあります。
年末調整とは?
年末調整は、会社員が毎年12月に行う「税金の過不足調整」です。会社が1年間の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、実際の課税所得に基づく税額を比べて、多く払いすぎていれば還付金として戻ってきます。
特徴
- 会社が手続きを代行
- 「給与所得のみ」の人が対象
- 一部の控除(基礎控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)、住宅ローン控除(2年目以降))はここで反映できます
確定申告とは?
確定申告は、1年間の収入や支出を自分でまとめ、税務署に申告・納税する手続きです。副業や不動産、株取引などの給与以外の所得がある場合や医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例を除く)など年末調整では反映できない控除を取りたい場合には、自分で申告しなければなりません。
確定申告が必要になるケース
- 副業の所得が年間20万円を超える
- 医療費控除を受けたい
- 寄附金控除(ふるさと納税)を使いたい
- 不動産収入・株式の譲渡益がある
- 雑所得(仮想通貨・ライター報酬など)がある など
副業者にとっての確定申告
副業で得た収入には、「必要経費」や各種控除をしっかり反映させることで、納税額を減らすことができます。これらを正しく申告するには、日頃から帳簿をつけたり、会計アプリを活用して管理することが大切です。
また、住民税の徴収方法を「普通徴収」にすることで会社にバレにくくするテクニックなど、確定申告の手続きは副業を継続するうえで必須スキルといえます。
年末調整 | 確定申告 | |
---|---|---|
実施者 | 勤務先 (会社) | 自分自身 |
対象 | 給与所得のみ | 副業、医療費、寄附金 などがある場合 |
実施時期 | 毎年12月 | 翌年2月16日〜 3月15日(原則) |
利点 | 手間がかからない | 経費や控除を柔軟に 適用できる |
還付の 可能性 | 一部あり | 経費や控除次第で 大きく還付も可能 |
副業を始めた30代サラリーマンにとって、確定申告は避けては通れないステップです。まずは基礎を理解し、税金の流れを把握することが、副業を長く続けていくための第一歩となります。






節税の基本
「副業で稼ぐ=手取りが増える」と思いがちですが、稼いだ分だけ税金が増えるのが現実です。だからこそ、稼いだお金を効率よく「守る」ために、節税の知識と実践が欠かせません。
節税とは、合法的に税金を減らす工夫のこと。ズルをするのではなく、国が認めた制度を活用して、無駄な税金を減らす方法です。以下にサラリーマン・副業初心者おすすめ節税術を紹介していきます。
ふるさと納税
実質2,000円の自己負担で全国の自治体に寄付ができ、寄付先から豪華な返礼品(お肉・お米・フルーツ・日用品など)がもらえる人気の制度です。寄付した金額のうち、上限内であればほぼ全額が翌年の住民税や所得税から控除されるため、実質的には“節税しながらお得な買い物”ができるような仕組みになっています。
特に便利なのが「ワンストップ特例制度」です。これは、確定申告をしなくてもふるさと納税の税額控除が受けられる制度で、年に5自治体以内の寄付であれば申請書を提出するだけで手続き完了。会社員などで確定申告をしない人でも簡単に節税効果を得られます。
ふるさと納税は、節税と生活の充実を同時にかなえる賢い制度です。まだ活用していない人は、今年こそチャレンジしてみましょう!


iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は、老後資金を自分で積み立てながら、同時に節税もできる「個人型確定拠出年金」です。最大の特徴は、毎月の掛け金が全額「所得控除」の対象になる点。これにより、所得税と住民税の負担が軽くなり、節税効果が得られます。
たとえば、月1万円を掛けた場合でも、年収や税率によっては年間2〜3万円程度の節税が可能。長期的に見れば、数十万円以上の節税効果にもつながります。
iDeCoは月額5,000円からスタートでき、会社員でも副業をしている人でも利用できます。副業によって所得が増えた人は、税金が増える前にiDeCoで対策するのがおすすめです。老後の備えと節税を同時に進められる、一石二鳥の制度です。

医療費控除・生命保険料控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円以上、もしくは所得の5%を超えた場合に受けられる控除制度です。本人だけでなく、家族の医療費も対象となるため、意外と多くの人が該当する可能性があります。治療費、通院のための交通費、市販薬の一部も含まれる場合があり、領収書はしっかり保管しておきましょう。
一方、生命保険料控除は、生命保険・介護保険・個人年金保険などに支払った保険料が対象となる制度で、最大12万円(所得税)、7万円(住民税)までの控除が受けられます。年末調整や確定申告で申請することで、税金が軽減される仕組みです。
これらの控除を使うには、支払いを年内(12月31日まで)に済ませることが重要。計画的に支出を管理して、しっかり節税につなげましょう。
【節税=ズル】ではない
節税は、お金を増やすもう一つの手段です。
むやみに税金を払いすぎるのではなく、国が認めた制度を正しく使って、「手取り」を最大化することが副業サラリーマンの鉄則。
副業と節税をセットで考えることで、働き方の自由度もぐっと広がります。
まとめ
税金というと難しそうなイメージがありますが、実は基本の仕組みさえ理解すれば、手取り額や将来のライフプランに大きな差が生まれます。
特に30代は、収入が増えたり、結婚・子育て・住宅購入などのライフイベントが重なりやすい時期。そんな今こそ、「知らなかった」で損をしないための“お金の教養”を身につけておくべきです。
今日から意識したい3つのこと
- 自分が払っている税金の種類と金額を確認する
(給与明細を見て、所得税・住民税・社会保険料をチェック) - 副業を始めるなら、経費と確定申告の基本を押さえる
(必要経費の管理で所得税や住民税を減らせる) - 控除や節税制度を活用して、無駄な支出を減らす
(ふるさと納税・iDeCo・各種控除を上手に利用)
税金や社会保険に関する知識は、副業・転職・投資など、あらゆる人生の選択肢に影響します。
今から少しずつ学びを深め、賢く、そしてしなやかにお金と向き合っていきましょう。