ファンダメンタル投資の教科書(足立武志)
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📚 BOOK REVIEW
ファンダメンタル投資の教科書
企業の実力をIRと数字で読み解く一冊
著者:足立 武志(あだち たけし)
PER・PBR・ROEって結局何を見ればいい? 決算書のどこを読めばいい? そんな疑問に正面から答えてくれる、個人投資家向けのファンダメンタル分析入門書。
この本の3つの特徴
📊
「使える指標」に絞って解説
ファンダメンタル指標は数十種類あるが、この本は個人投資家が実際の銘柄選びで使える指標に絞って解説している。PER・PBR・ROEなど頻出指標の意味と「どう使うか」が明快。
📋
決算書の読み方が身につく
損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の3つをどこから読むか、何に注目するかを丁寧に解説。決算短信をまったく読んだことがない人でも理解できる構成。
🔍
成長株の見つけ方まで踏み込む
「割安かどうか」だけでなく、「成長しているかどうか」を見極めるための指標や考え方まで解説されている。いい銘柄を探す具体的なスクリーニング手順が学べる。
章ごとに学べること
第1章
ファンダメンタル分析とは何か
テクニカル分析との違いから入り、ファンダメンタル分析が「企業の実力・成長性・割安度を数字で評価する手法」であることを整理する。どういう投資スタイルに向いているかも解説。
ファンダメンタルとはテクニカルとの違い投資スタイル
第2章
財務三表の読み方入門
損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)の3つについて、どこを見れば何がわかるかを解説。難しい会計知識は不要で、投資判断に必要な箇所だけを厳選して学ぶ。
損益計算書貸借対照表CF計算書
第3章
PER・PBR・ROEを使いこなす
個人投資家が最も使う3大指標を深く掘り下げる。「PERが低いから割安」という単純な話ではなく、業種・成長性・市場環境によって適切な水準が変わることを事例で学ぶ。
PERPBRROE割安・割高の判断
第4章
成長株を見つけるスクリーニング
売上高成長率・営業利益率・EPS成長率などを使って成長株を絞り込む手順を学ぶ。スクリーニングツールの使い方や、数字だけでなく事業の質も見る方法を解説。
売上高成長率EPS成長率スクリーニング
第5章
危ない銘柄を見分ける財務チェック
有利子負債・自己資本比率・営業CFのマイナスなど、財務悪化のサインを見分けるポイントを学ぶ。上場廃止・業績急悪化のリスクを事前に察知するための財務チェックリスト。
自己資本比率有利子負債営業CF財務リスク
第6章
実際の銘柄分析への応用
ここまで学んだ指標・財務読み解きのスキルを使って、実際の銘柄分析の流れを実践する。決算短信・IR情報の見方と組み合わせた、個人投資家が使える総合的な銘柄評価の手順。
銘柄分析の流れ決算短信の読み方実践
本書で学べる主要指標
PER
株価収益率(Price Earnings Ratio)
PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益)
「いまの株価は、1年分の利益の何倍か」を示す。一般的にPERが低いほど割安とされるが、成長株は高PERでも正当化される場合がある。業種平均との比較が重要。
PBR
株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)
PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)
「いまの株価は、純資産の何倍か」を示す。PBR1倍割れは「株価が解散価値を下回っている」状態。ただし、低PBRには理由があることも多い。
ROE
自己資本利益率(Return On Equity)
ROE = 純利益 ÷ 自己資本 × 100
「株主から預かったお金をどれだけ効率よく使って利益を上げているか」を示す。一般的にROE 10%以上が優良企業の目安。成長企業の選別に必須の指標。
EPS
1株当たり利益(Earnings Per Share)
EPS = 純利益 ÷ 発行済株式数
EPSが毎年成長しているかどうかが、成長株かどうかを見極める基本。増収増益でもEPSが増えていない場合は株式分割や希薄化が起きている可能性がある。
自己資本比率
財務健全性の基本指標
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
数値が高いほど借金が少なく財務が安定している。一般的に40%以上あると安心とされる。業種によって標準値が異なり、不動産・金融は低くなりやすい。
営業CFマージン
キャッシュ創出力の確認
営業CF ÷ 売上高 × 100
利益が出ていてもキャッシュが生まれていない企業は要注意。黒字なのにキャッシュが減り続けている(黒字倒産リスク)企業を見分けるために必ず確認したい。
財務三表の見方
💹
損益計算書(PL)
「この期間でいくら儲けたか」を示す。売上高から始まり、各段階の利益を確認する。
- 売上高の成長率をまず見る
- 売上総利益率(粗利率)の推移
- 営業利益率が改善しているか
- 特別損益による一時的な変動に注意
⚖️
貸借対照表(BS)
「ある時点でどのくらいの資産・負債・純資産があるか」を示す財務の全体像。
- 自己資本比率で財務安全性を確認
- 有利子負債の水準と返済能力
- 流動比率(短期の支払い能力)
- 純資産の増加トレンドを見る
💵
CF計算書(キャッシュフロー)
「実際にお金がどう動いたか」を示す。PLの利益と乖離があれば要注意。
- 営業CFがプラスかどうか最重要
- 投資CFで設備投資の規模を確認
- 財務CFで資金調達の方法を把握
- フリーCF(営業CF-投資CF)の推移
💡 決算短信を読むとき、まず「売上高・営業利益の前年比」と「営業CF」の3つだけ見るクセをつけると、短時間で企業の健康状態が把握できるようになる。
PER・PBR・ROEの見方早見表
| 指標 | 目安(良好) | 注意が必要 | ひとことポイント |
| PER | 10〜20倍前後(業種次第) | 50倍超(成長期待がなければ高すぎ) | 業種平均と比較する |
| PBR | 1〜3倍前後 | 0.5倍割れ(低迷企業の可能性) | 1倍割れは解散価値以下 |
| ROE | 10%以上 | 5%未満(資本効率が低い) | 成長株選別の最重要指標 |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 20%未満(財務リスク大) | 業種で標準値が異なる |
| 営業CF | プラスかつ安定 | 継続してマイナス | 黒字でもマイナスなら要注意 |
| EPS成長率 | 年10〜20%以上 | 横ばい・減少傾向 | 成長株の本質的な判断基準 |
著者について
公認会計士・税理士として財務の専門知識を持ちながら、個人投資家として長年活動している。財務諸表を「読める」プロが「投資に使いやすい形」で解説してくれる点が、他の入門書にはない強み。
「株価チャートの教科書」と本書「ファンダメンタル投資の教科書」はセットで読むことが推奨されており、チャートで売買タイミングを、ファンダメンタルで銘柄の質を判断するという両輪の投資スタイルを提唱している。
こんな人におすすめ
- PER・PBRが何なのかよくわかっていない人
- 決算短信を開いても何を見ればいいかわからない人
- 「なんとなく」ではなく数字の根拠を持って銘柄を選びたい人
- 成長株を自分でスクリーニングして探したい人
- 財務的に危ない銘柄を事前に避けたい人
- IRを読む力をさらに深めたい個別株投資家
⚠️ こういう人には向かないかも:財務諸表を深く読み込む高度なバリュー投資(グレアム式、DCF分析など)を学びたい人には物足りないかもしれない。本書はあくまで個人投資家が実践で使える範囲に絞った内容。
FAQ
チャートの教科書とどちらを先に読むべきですか?
どちらでも構わないが、個人的にはチャートの教科書→ファンダメンタルの教科書の順をおすすめしたい。まず売買タイミング(チャート)を学んでから、「そもそもどの銘柄を買うか」(ファンダメンタル)を学ぶと、全体像が掴みやすい。2冊セットで読むのが一番効果的。
会計や財務の知識がなくても読めますか?
読める。著者の足立武志氏は公認会計士だが、本書は会計の専門知識を前提にしていない。「投資判断に必要な最低限の財務知識」に絞られており、損益計算書・貸借対照表を見たことがない人でも理解できる構成になっている。
小型成長株の分析にも使えますか?
非常に使える。むしろ小型成長株の分析こそ、この本で学ぶ「EPS成長率・営業利益率・CF確認」が重要になる。大型株と違い、アナリストカバレッジが少ない小型株は自分で財務を読めるかどうかで情報の質が大きく変わる。
IR情報の読み方とどう組み合わせればいいですか?
本書でファンダメンタル指標を学んでおくと、決算短信・中期経営計画のIRを読む解像度が格段に上がる。「売上高成長率は何%か」「ROEは目標を達成しているか」「営業CFは健全か」という視点で読めるようになるため、IR×ファンダメンタルのセットが最強の組み合わせ。
IRを読む習慣がついてから、この本の内容がより実感として刺さるようになった。「売上は増えているのに利益が増えていない理由」「ROEが低い理由」を財務3表と指標で説明できるようになったのは、この本のおかげが大きい。
エスクリプトエナジーのような新興企業を分析するとき、正直まだ利益が出ていない段階なのでPER・ROEは使いにくい。ただ、「売上高成長率は計画通りか」「営業CFはどうなっているか」「希薄化リスクを自己資本比率でどう見るか」という視点は、この本で学んだことが土台になっている。
チャートの教科書と合わせて読むことで「どの銘柄をいつ買うか」という投資判断の精度がかなり上がった。個別株をやるなら2冊とも手元に置いておく価値がある。